——次の『安息日』には、子どもらを空へ連れて行こう。この国の風景を、空から眺めてもらいたい……
瞬く金と白の眼が、握り込む操縦桿に意識を留めた。視線をもたげると視界がひらけて、澄み渡る青の世界が顕現する。
間もなく背後に気配を感じ取り、白の眼で振り返ると、普段は真白い雲と同じ姿で天界を統べる同僚がこちらを見つめている。
『貴方の御時間に相乗りさせていただくのも、偶さかには良いのかもしれませんね』
そう告げる左眼が笑む。
だが、どうも居心地を迷っている。
俺の背にでも引っ付いてろよ、と片手で手招く。
にこつく雲が水塊の掌でうなじを触る。
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